皆さん、こんにちは。埼玉県川口市を拠点に、地域密着で原状回復工事や内装リフォームを手掛けている甲商ライフです。
築古物件の退去が出ると、「どこまで直すべきか」で悩む方は多いのではないでしょうか。きれいに直したはずなのに反響が弱い、あるいは逆に、費用をかけすぎて回収が難しくなった——そんな話は管理の現場ではよく耳にします。
結論からお伝えすると、築古物件の原状回復工事は「元に戻す」だけでは不十分です。東京のように比較される物件が多いエリアでは、工事の範囲と見せ方を分けて考えることが大切です。
この記事で得られる3つの重要ポイントは以下の通りです。
- 築古物件は「原状回復・小改修・募集訴求」の3つに分けて判断すると整理しやすい
- 全面刷新を急ぐより、入居判断に効く箇所から優先順位をつけた方が失敗しにくい
- 工事だけで終わらせず、募集条件や見せ方まで含めて設計すると反響につながりやすい
それぞれ順番に見ていきましょう。
目次
- 築古物件の原状回復工事は「元に戻す」だけでは足りません
- 築古物件は「原状回復・小改修・募集訴求」の3つに分けて考えます
- 優先順位は「印象」「故障」「競争力」で決めます
- 全面刷新を急がないほうがよいケースもあります
- 発注前に整理すると、工事と募集のズレを防げます
■ 築古物件の原状回復工事は「元に戻す」だけでは足りません
築古物件では、原状回復をしても募集で埋もれてしまうことがあります。東京のように比較対象が多いエリアでは、工事が終わったかどうかより「次の入居者にどう見えるか」まで含めて考えることが大切です。
・なぜ築古物件は「直しただけ」で決まりにくいのでしょうか
原状回復は「退去前の状態に戻す工事」を指します。壁紙の張り替えやクリーニングなど、最低限の対応として欠かせない作業です。
ただし、築古物件の場合は「元に戻す」こと自体が必ずしも強みにはなりません。設備や間取りが古いままだと、同じ家賃帯の新しい物件と比べたときに印象で見劣りすることがあるからです。
つまり、原状回復は「入居を決める条件」というよりも「比較のスタートラインに立つための最低条件」に近い位置づけです。ここを押さえたうえで、次に何を加えるかが分かれ目になります。
・東京の築古物件では比較対象の多さが判断を厳しくします
総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家は約900万戸、空き家率は13.8%(2023年10月1日現在)に達しています。空き家の増加は比較対象の増加でもあり、築古物件にとっては、ただ直しただけでは選ばれにくくなる環境が広がっている状態です。
また、国土交通省の「建築物リフォーム・リニューアル調査」によると、建築物リフォーム・リニューアル工事の受注高は令和7年度第3四半期時点で4兆503億円に上ります。改修を行うこと自体は多くの物件で一般的な選択肢になっていますが、だからこそ「何を、どこまで直すか」の判断が重要です。
すべての築古物件に大がかりな改修が必要なわけではありません。大切なのは、原状回復だけで十分な場合と、プラスアルファが必要な場合を見分ける視点を持つことです。
参照URL:
令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果
建築物リフォーム・リニューアル調査報告 令和7年度第3四半期受注分
■ 築古物件は「原状回復・小改修・募集訴求」の3つに分けて考えます
築古物件をまとめて「直す対象」としてとらえると、費用も判断もふくらみがちです。まずは原状回復、小改修、募集訴求の3つに分けることで、やるべきことが整理しやすくなります。
・まず原状回復で最低限そろえるべきことを整理します
原状回復に含めるのは、退去にともなう壁紙の張り替え、クリーニング、設備の軽微な補修など、「元に戻すために必要な工事」です。ここはどんな物件でも基本的に省けません。
大事なのは、この範囲を最初にはっきり決めておくことです。原状回復の範囲が曖昧なまま見積もりを取ると、あとから「これも直した方がいいですか?」という追加が次々と出てきて、結局どこまでやるかの判断が後手に回ることがあります。これは管理実務の中でもよくある話です。
・そのうえで小改修と募集訴求を切り分けます
小改修とは、全面的な改装ではなく、印象や使い勝手を底上げするための追加工事です。たとえば水栓の交換、照明のタイプ変更、建具の調整といった比較的コストが抑えられる内容が挙げられます。
一方の募集訴求は、工事そのものではありません。物件写真の撮り方、募集図面の見せ方、ターゲット設定など、「どう伝えるか」にあたる部分です。
この3つを分けて考えるメリットは、「全面刷新か、それとも何もしないか」という極端な二択を避けられることです。限られた予算のなかで効果が出やすい順に手を打てるようになります。
なお、国土交通省の調査で改修工事の受注高が4兆503億円(令和7年度第3四半期)に達しているように、改修は多くの物件で一般的な選択肢です。ただし、一般的だからこそ「何をやるか」の見極めが大切になります。
参照URL:
建築物リフォーム・リニューアル調査報告 令和7年度第3四半期受注分
令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果
■ 優先順位は「印象」「故障」「競争力」で決めます
築古物件の原状回復で「どこから手を付ければいいか」と迷ったときは、全部をいっぺんに直そうとしないことが大事です。判断軸を「第一印象」「故障や不具合」「募集上の競争力」の3つに分けると、優先順位がつけやすくなります。
・第一印象を左右する箇所から手を付ける考え方
入居を検討する方が物件を見るとき、最初に目に入る場所は限られています。玄関まわり、床、壁、水回りの清潔感は、内見時の印象を大きく左右します。
築古物件では、この「第一印象ゾーン」に使用感や古さが出やすいため、まずここから整える方が効率的です。逆に、普段目に入りにくい箇所を先に直しても、内見時の印象にはつながりにくいことがあります。
たとえば、壁紙の汚れや黄ばみは低コストで改善できることが多く、費用に対する印象改善の効果が出やすい箇所のひとつです。
・故障や競争力に関わる項目は後回しにしません
第一印象と並んで優先すべきなのは、設備の故障や不具合です。エアコン、給湯器、換気扇などが正常に動かない場合は、入居後のトラブルに直結します。これらは印象以上に早めの判断が必要です。
もうひとつの軸は「同じ家賃帯の物件と比べて選ばれる力があるか」という視点です。築古物件は新築や築浅物件と並んで比較されることが多いため、「自分の物件を見た人が、隣の物件と比べたときにどう感じるか」を想像することが判断の助けになります。
総務省の統計が示すように空き家率は13.8%(2023年)に達しており、比較対象は増え続けています。優先順位は物件タイプやターゲットによって変わりますが、「印象」「故障」「競争力」の3つを軸にすると、現実的な判断がしやすくなります。
参照URL:
令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果
建築物リフォーム・リニューアル調査報告 令和7年度第3四半期受注分
■ 全面刷新を急がないほうがよいケースもあります
築古物件だからといって、毎回フルリフォームが正解とは限りません。賃料帯や入居ターゲット、退去理由を整理しないまま大きな工事に踏み切ると、費用に見合った効果が得られないことがあります。
・全面刷新が空振りになりやすいパターンとは
よくあるのは、家賃帯に対して工事費が大きくなりすぎるケースです。たとえば家賃6万円台の物件に数百万円の改装をかけても、家賃を大きく上げられなければ回収に長い時間がかかります。
また、退去理由が「転勤」や「家族構成の変化」など物件の問題とは関係ない場合に、設備をすべて入れ替えるような工事をしても、的外れになることがあります。退去理由を確認せずに「古い=全面刷新」と判断するのは、費用対効果の面でリスクが大きい進め方です。
「きれいに直したのに反響が弱い」という話は、管理の実務では珍しくありません。多くの場合、原因は工事の質ではなく、「どこに手を入れるか」の選び方にあります。
・失敗しにくいのは「最低限+効く改善」に絞る進め方です
全面刷新そのものを否定するわけではありません。物件状態によっては、大規模な改修が必要なケースもあります。
ただ、多くの築古物件では、原状回復で最低ラインを整えたうえで「内見時に印象が変わるポイント」だけを追加する方が、費用と効果のバランスが取りやすいです。前のセクションで触れた優先順位の考え方を使えば、どこに追加投資するかを判断しやすくなります。
国土交通省の調査では改修工事の受注高が全国で4兆503億円(令和7年度第3四半期)と大きな規模ですが、「改修が一般的だからやるべき」ではなく、自分の物件にとって何が効くかで判断することが大切です。
参照URL:
建築物リフォーム・リニューアル調査報告 令和7年度第3四半期受注分
令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果
築古物件の原状回復でお悩みの方は、まずは工事範囲の整理からご相談ください。
■ 発注前に整理すると、工事と募集のズレを防げます
築古物件の原状回復は、工事内容だけ決めても不十分です。発注前に「誰に貸したいか」「いつ募集したいか」「どこまで直すか」を整理しておくと、工事後のズレを減らしやすくなります。
・発注前に決めておきたい3つの確認事項
具体的には、次の3点を先に整理しておくとスムーズです。
- 募集開始時期:いつまでに工事を終わらせて、いつから入居者を募集したいか
- 想定ターゲット:単身者向けか、ファミリー向けか。ターゲットによって手を入れるべき箇所が変わります
- 工事範囲の線引き:原状回復に含める部分と、追加で検討する部分をどこで区切るか
この3つが決まっていると、施工会社への相談もスムーズです。逆に、ここが曖昧なまま見積もりを依頼すると、見積もり後に条件が変わって再見積もりになるケースも少なくありません。
・管理会社・オーナー・施工会社で共有すべき内容
もうひとつ大切なのは、管理会社・オーナー・施工会社の三者で認識を合わせておくことです。とくに築古物件は「どこまでが原状回復で、どこからが追加投資か」の線引きが曖昧になりやすいため、口頭だけでなく書面や写真で共有しておくと安心です。
空き家率が13.8%(2023年、総務省調査)という状況では、工事が終わってから募集を考え始めるのでは遅いこともあります。発注前の段階で募集まで見通しておくと、工事完了後すぐに動き出せます。
物件ごとに最適な進め方は異なりますので、判断に迷った場合は現地を見たうえで相談するのがもっとも確実です。
参照URL:
令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果
建築物リフォーム・リニューアル調査報告 令和7年度第3四半期受注分
■ よくある質問
Q. 築古物件は原状回復工事だけで決まるようになりますか?
必ずしもそうとは言えません。原状回復は募集のための土台として欠かせませんが、築古物件の場合は募集写真の見せ方や設備の印象、ターゲット設定まで含めて整えた方が反響につながりやすいです。物件の状態によっては、原状回復だけで十分なケースもあります。
Q. 築古物件なら最初から大規模リフォームを考えるべきですか?
一概には言えません。賃料帯や立地、退去理由によっては、最低限の原状回復と印象改善のための小改修だけで十分に効果が出ることもあります。全面刷新は費用と募集条件のバランスを見てから判断するのが基本です。
Q. 管理会社として発注前に何を整理しておくべきですか?
少なくとも「いつ募集を再開したいか」「誰に貸したいか」「どこまでを原状回復とし、どこからを追加改善にするか」の3点は先に整理しておくのがおすすめです。ここが明確になっていると、見積もりや着工後に認識がずれるリスクを減らせます。
■ まとめ
築古物件の原状回復工事は、ただ元に戻す作業ではなく、次の入居者に選ばれる状態をどうつくるかまで含めて考えることが重要です。全面刷新か放置かの二択ではなく、「原状回復・小改修・募集訴求」に分けて判断することで、限られた予算でも効果の出やすい進め方ができます。
甲商ライフは、原状回復工事、修繕・補修工事、内装リフォーム、内装リノベーション工事などを手がける建設会社です。埼玉県川口市を拠点に、東京都・埼玉県のマンション・アパートを中心とした原状回復や内装工事に対応しています。施工実績にはマンション・アパートのほか、商業施設やオフィスも含まれています。
築古物件の原状回復について「どこまで直すか迷っている」「費用と効果のバランスを相談したい」という場合は、まず現状の確認からお気軽にご相談ください。相見積もり中の方や、まだ方針が固まっていない段階でも、状態を見たうえでの整理からお手伝いできます。
ちょっとした疑問からでも大丈夫です。

